素直な心──歪みなく、色のついていない心で。

表と裏、光と影──対になるものある世の中で生きているということ

「ありとあらゆる事物には常に、相反するものが対になって存在している。
それが世の理(ことわり)である」
そんな考え方があります。
表と裏。明と暗。陰と陽。善と悪。植物と動物。腹と背中……女性と男性もそうですね。

だとしたら、人が生きるこの世の中にとって、対になるものとはなんでしょう。
それはいわゆる「あの世」になりますね。
私にとってのあの世とは、私の両親をはじめ親類縁者が渡って行った先となります。

あの世はこちらから見ることができません。
ただ「見えない」からといって存在しないとは言い切れない──
むしろ、この世があるのだからあの世もあって当たり前じゃないか、と。

ではなぜ、存在していてもこちらから見えないのか……
そこで私は思うのです。この世は煌々とライトで照らされている舞台で、あの世はライトの外の観客席なのではないか、と。

だとしたら、観客席からはステージがよく見えることでしょう。
つまり、親類縁者がステージの上の私を見ているわけです。
私が良いことをすれば、観客席ではみなさん喜んでくれるでしょうし、逆の行いをすればみなさん呆れ返ったり悲しんだり…場合によっては席を立って去っていくかもしれません。
そう考えるたびに「日々きちんと正しく生きなければ」と初心に立ち返っております。

世の中に存在するものにはすべからく、対になるものがある。
それが分かっていれば、人生の道に迷った時にも困ることはありません。
人生のステージで迷ったのなら、反対側の「あの世でこちらを見ている人たち」を考えるように、対になっている“反対側”を見れば、答えが分かりやすいのです。

仕事で迷った時も、自分の中に答えを探すのではなく、お客様の側に答えがあるはず。
ただ、それを見つけるには、「歪みなく色もついていない心」が大切になります。